「石直球」で勝負だ!

 阪神ドラフト2位の新日鉄住金鹿島・石崎剛投手(24=三和)が、茨城・神栖市のホテルで仮契約を行った。契約金7000万円、年俸1200万円でサインすると「ホッとしました」。最速151キロ右腕は、守護神呉昇桓の代名詞を継承することを熱望した。

 「コンスタントにMAXに近い球を投げられるようにしたい。握りを変えるかはわからないけれど、チャレンジしてみたいです」

 剛という名前のごとく、ほとんどの場面で決め球に力強い直球を選んできた。「小さいテークバックで、いきなりドーンッと来るようなイメージです」。自己分析してみると、阪神の先輩にお手本がいた。「石直球」と呼ばれる呉昇桓の重たい真っすぐを、日本シリーズでも熱心に研究。その源となる独特の握り方に、自然と興味が湧いた。

 「トレーニングや、マウンドで投げるときにどのように考えているのかも、勉強させてもらいたい」

 マウンドではポーカーフェースの呉昇桓も、今春キャンプでは新人左腕の山本に「霧吹きトレ」を伝授するなど、よき兄貴分の一面を持つ。石崎自身、先発、中継ぎにかかわらず直球へのこだわりを捨てるつもりはない。プロでの飛躍を志し、熱烈アプローチをかける気は満々だ。

 担当の中尾スカウトは「とにかく速い」と特長を認める。ただ石崎は「まだ上を目指したい」とスピードアップにも意欲的だ。力で押して、ねじ伏せる。もうひとつの石直球、石崎が新たな名物を誕生させる。【松本航】

 ◆石崎剛(いしざき・つよし)1990年(平2)9月9日、茨城県生まれ。三和高3年夏は10球団26人のスカウトの前で茨城大会1回戦敗退。2年秋から3年夏にかけて430回で618奪三振。球種は最速151キロの直球にスライダー、チェンジアップ。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。

 ◆石直球

 呉昇桓が韓国時代に重く、石のような直球を投じることから名付けられた。握りは一般的に投げられる直球と基本的には同じだが、手のひらにボールを密着させない。親指は指先ではなく第1関節をボールに当て、リリースの瞬間にボールを押し出す。最速は157キロ。