世界の野球ファンの度肝を抜くスピードでサヨナラ勝利を決めるホームを踏んだ侍ジャパン周東佑京内野手(27=ソフトバンク)の名前の由来は、あのF1レーサーだった。

群馬・太田市生まれ。父孝宜さんによると、名前の「佑京(うきょう)」は90年代にF1レーサーとして活躍した片山右京(59)から取ったという。「片山は単身英国に渡ってF3から自分の力でF1へとステップアップしていった。単身で渡ったのが格好いい。私は群馬から離れられなかったので、自分の息子には自分の力で、のし上がってほしいという気持ちがあって付けました」と、振り返る。

20年シーズンに周東が育成出身初の盗塁王に輝き、ソフトバンクのリーグ優勝と日本一に貢献した際には「今や『スピードスター』ですよね。(命名の)由来が(片山右京の異名)『カミカゼ・ウキョウ』ですから。今思うと不思議だなと」と、感慨深く話していた。

名字との相性上、字画が足りず「右」ににんべんをつけたという“佑京”は、地元の群馬から片山右京のように“単身”北海道・網走市に渡り、東農大北海道オホーツクで「武者修行」。ソフトバンクに育成選手で入団すると九州で盗塁王、日本一とのし上がり、ついには世界が注目する大舞台で大仕事をやってのけた。「野球は塁間など世界共通。せっかくなら世界一になってもらいたい」と願っていた父の思いを実現する“カミカゼ佑京”がローンデポパークをさっそうと駆け抜け、侍ジャパンを3大会ぶりの決勝戦に導いた。

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