侍ジャパン中田翔外野手(23)の「フォーム抗争」に、決着ムードが漂ってきた。13日(日本時間14日)の全体練習で、フリー打撃を実施。中田が極めようとしている左足を上げる1本足打法と、立浪打撃コーチが指南するすり足打法で試行錯誤していたが、この日は中田が主張する1本足で柵越えを連発した。

 中田

 打球の角度が良かった。あれ(すり足)でヒットも打てなかったら、何もならないからね。

 精度を重視し、動作に極力、ムダを省くようなフォームが、立浪コーチが勧める「すり足打法」だ。一方で、長打を打てるという特長を生かしながら中田が取り組んできたのが「1本足打法」。WBC合宿で、立浪コーチが「すり足」を推奨してきた背景には、上体が早く移動するという中田の悪癖を矯正するのが狙いだった。

 それが改善されたと判断した立浪コーチは、「本人が力を入れやすいのが一番いい」と理解を示した。決勝Tの舞台であるAT&Tパーク(サンフランシスコ)は、右翼後方からの海風の影響で右方向への本塁打が出にくい「投手有利」な球場として知られる。長打が生まれにくいだけに、中田の存在は貴重だ。

 中田は「目がバチって覚めた。時差ボケってあまりない」とアドレナリン十分。さらに「球場のスケールも大きいので、テンションも上がりますよ」と、責任感と気合十分に話した。相互理解の下で解禁された豪快なフルスイングで、世界を制する。

 ◆AT&Tパーク

 ジャイアンツの本拠地。メジャーで最も本塁打が出にくい球場の1つで、左右非対称の形状を持つ。ホームから右翼ポールまでは92・4メートルと短いが、高さ25フィート(約7・6メートル)のフェンスが中堅まで覆い、かつ後方の入り江から常に逆風が吹くことから、右方向への本塁打が出にくい。昨季は81試合行われ、左打者が34本、右打者が50本と、特に左打者に不利なデータが残っている。