【グレンデール(米アリゾナ州)15日(日本時間16日)=四竈衛】マエケンが、お・も・て・な・し。ドジャース前田健太投手(28)が、準決勝進出を決めた侍ジャパンの到着を待ち焦がれている。米国入り後はド軍の練習場を使用するとあり、現地で侍メンバーと対面する。米国に舞台を移しての戦いについて、13年の前回大会で起きたアクシデントを例に、何があっても慌てない姿勢をポイントに挙げた。球場や食事会などで直接助言する機会もありそうだ。前回大会の悔しさを知る「元侍」が、世界一奪還を全面的にアシストする。

 前田は、侍ジャパンが米国にくると信じていた。2次ラウンドまでの戦いは携帯電話などで速報、詳細をチェックしていた。苦しい試合もあったが、前田は「普通に勝つと思って見ていたので、そんなに心配していなかったです」。仲間の力を信じていた。自身も出場を強く希望しながら、総合的な判断で最終的に辞退した。だが、心中では一緒に戦っている。

 米国での戦いに助言も忘れなかった。「不測の事態が起こらないことを祈るだけです。ただ、米国では、日本ではあり得ないようなことがたくさんある。スムーズにいかないことがあっても、慌てず、ストレスを感じないようにしてほしいですね」。前田も出場した前回13年大会ではアクシデントがあった。

 準決勝の前日。サンフランシスコへ届くはずの荷物が、なぜかロサンゼルスに運ばれてしまい、練習時間が変更された。移動バスのバッテリーが上がって動けなくなるトラブルもあった。準決勝の先発だった前田は「影響はなかった」と言うものの、結果的にこの試合には2点差で敗れた。多少のトラブルがあろうと動じない姿勢は、国際大会では重要なポイントになる。

 侍ジャパンは17日の午前中にド軍本拠地で練習する。ド軍はナイターのため、前田は「ボクが球場に着く頃には帰っちゃっているかな。間に合うかな」と対面を楽しみにしている。19日には侍ジャパンとド軍の練習試合が行われる。前田は登板しないが、観戦する予定だ。また、広島時代の同僚や親しいメンバーとは連絡を取り合っており「タイミングが合えば食事にでも」と考えている。直接会って激励、助言をする機会もありそうだ。

 「全員がいいムードで戦っていると思う。日本国民として応援しています。何とか勝って世界一になってほしいです」。静かな口調ながら、いつになく熱い言葉が続いた。