【フェニックス(米アリゾナ州)16日(日本時間17日)】第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2次ラウンドE組を1位で突破した日本代表は、準決勝に向けて最終調整をするアリゾナ州に到着した。権藤博投手コーチ(78)が、強豪国を相手にする21日(同22日)の準決勝へ向けて、投手陣の守るべき「攻めの3カ条」を打ち立てた。(1)内角をえぐる(2)継投でイニングまたぎをしない(3)惜しまずにいい投手を突っ込むことを勝利のカギに挙げた。先発する菅野の後を受け、攻めの投手起用で決勝に進む。

 攻めてこその侍だ。投手陣は2次ラウンドで、メジャーリーガーをそろえるオランダに6失点。キューバにも5失点を喫した。舞台を米国に移して戦う準決勝では、F組2位と対戦。ドミニカ共和国、アメリカ、プエルトリコ、ベネズエラのいずれかのチームで、どこが相手でも破壊力のある打力を誇る。簡単にいけば、はね返される。権藤投手コーチが秘策を明かす。

 (1)内角をえぐれ これまでバッテリーは外角中心のリードが目立つ。球数制限の影響や、安全にいきたい気持ちの表れでもある。権藤コーチは「外角の変化球に頼らず、どんどん攻めていく。高めの強いボールで打ち取ってやろうという気持ちで」と説明する。12日のオランダ戦の2回に石川がJ・スクープに浴びた1発はすべて外角に投じた3球目を運ばれた。

 外国人は腕が長く外角を拾う一方、懐が窮屈になる傾向がある。低めや外角の変化球を見極められるケースも、内角に直球を見せれば減る。甘く入れば長打の恐怖もあるが、メジャーリーガーをそろえる打線に内角なしでは抑えられない。飛び込む勇気が必要だ。

 (2)イニングまたぎなし 固まりつつある勝利の方程式。救援陣は1イニング専任で任せる。「シーズンでは出来るのに、回が終わって(ベンチに)帰ってくるとヘトヘトになっている。これがWBC」と権藤コーチ。15日のイスラエル戦の平野は6回を3者凡退も、7回は1死から二塁打を浴びた。平野、宮西、秋吉、牧田を中心に、各イニングに全力を傾けさせる。

 (3)惜しまず早めの継投 負ければ終わりの決勝ラウンド。準決勝から「出し惜しみはしない。先は見ない」と腹をくくる。決勝に先発する投手以外は、状態のいい投手を次々につぎ込む。30球未満の投球なら、翌日の決勝にも登板は可能。攻められるだけ攻めてみせる。

 15日の試合後、小久保監督が「次は一番難しい準決勝」と評した負けられない戦いが待つ。投手陣一丸で失点を防ぎ、勝機をつかむ。【池本泰尚】