ベースボールの本場として、世界一が使命だった。その第1歩として、GMにヤンキース監督としてワールドシリーズを4回制覇したジョー・トーリ氏(76=MLB副会長)、監督には同1回のジム・リーランド氏(72)が就任。勝ち方を熟知した2人の重鎮が、昨季途中からチーム編成に着手した。まずは候補選手への聞き取り調査を開始。興味レベルから確認を進め、「代表への誇り」を重視した。求めたのは、調整の一環と考えるビッグネームよりも、気骨あふれるプロ集団。その後、辞退選手が出たものの、最終的には「選抜」ではなく「志願」の意思を持つ28人が集まった。

 采配も、勝利に徹した。短期決戦のカギは、いかに失点を防ぐか。決勝戦の内外野7人全員はゴールドグラブ賞獲得者。打撃不振でも三塁アレナドを全試合で起用し、手駒が豊富な救援陣に勝敗を託した。パワーだけに依存しない戦いこそ、米国本来の強さだった。米球界の期待に応えた一方、リーランド監督のユニホーム姿は今回が見納め。シャンパンファイトを終えると、「これで完了」と少ししんみりした後、ニヤリと笑った。「我々は“メーク・アメリカ・グレート・アゲイン”(偉大なアメリカを取り戻す)にトライしただけだよ」。トランプ大統領のキャッチフレーズで笑わせると、老将は静かに会見場に背を向けた。