今年もドミニオンの季節がやってきた。新日本プロレスは6月9日、「DOMINION(ドミニオン)」こと大阪城ホール大会を行う。6月の同地での試合は年間前半の最大のヤマ場。ドミニオンの歴史を振り返るとともに、19年大会を展望する。

クリス・ジェリコ(2019年1月4日撮影)
クリス・ジェリコ(2019年1月4日撮影)

★ドミニオンの歴史

ドミニオンと銘打ったのは09年。以来、毎年6月に大阪で開催してきた。最初の会場は大阪府立体育会館(現エディオンアリーナ大阪)だったが、15年からより収容人数の大きい大阪城ホールに進出。1万人超の観客を集め、IWGPヘビー級選手権などいくつかのタイトルマッチをまとめて行ってきた。毎年のメインはほぼIWGPヘビー級選手権で、昨年は王者オカダと挑戦者ケニー・オメガが時間無制限3本勝負で対戦。計64分50秒の激戦の末、オメガが勝利した。

IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカは2度目の防衛戦で、クリス・ジェリコと戦う
IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカは2度目の防衛戦で、クリス・ジェリコと戦う

★19年大会展望

既報のカードは3つ。1つはIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(31)の2度目の防衛戦で、元WWEのスーパースター、クリス・ジェリコ(48)の挑戦を受ける。オカダは4月の米ニューヨーク、マディソンスクエアガーデン(MSG)大会でジェイ・ホワイトを下し、10カ月ぶり5度目の王者に返り咲き。5月の福岡大会でSANADAを下してV1を達成した直後、ジェリコからの電撃動画メッセージが届いた。「俺はお前に苦痛を与える」とあおられ、オカダは「上等じゃねーか、このやろー」と応酬。対戦を快諾した。ジェリコは昨年内藤を標的に定め、パイプいすなどの凶器での攻撃、奇襲を繰り返した。そんなハードコアの攻めにオカダがどう立ち向かうか。現段階で前哨戦の予定がないだけに、展開は予測不可能だ。

4月、新日本後楽園大会で、内藤哲也(右)は飯伏幸太にエルボーを決める
4月、新日本後楽園大会で、内藤哲也(右)は飯伏幸太にエルボーを決める

もう1つはIWGPインターコンチネンタル王者飯伏幸太(36)の2度目の防衛戦。同じ年齢のライバル内藤哲也の挑戦を受ける。2人の対戦は今年に入って3度目。3月のニュージャパン杯1回戦では飯伏が勝利。4月のMSG大会でも飯伏がIWGPインターコンチネンタル王者内藤を破り、同ベルトを初戴冠した。新日本に再入団した飯伏が、地位をさらに強固にするか、それとも現在無冠の内藤がベルトを取り戻し勢いづくか。大きな分かれ目となる。

18年11月、新日本プロレス・ワールドタッグリーグ2018で、石井智宏(左)にドロップキックを見舞うタイチ
18年11月、新日本プロレス・ワールドタッグリーグ2018で、石井智宏(左)にドロップキックを見舞うタイチ

また、5月にNEVER無差別級王者となったタイチ(39)が、石井智宏(43)相手に初防衛戦を行う。7月にはヘビー級のシングルリーグ戦G1クライマックスが待つ。昨年ヘビー級に転向したにもかかわらず、同リーグに出場しなかったタイチは、ここで存在感をみせたいところ。5日の両国大会で決まるベスト・オブ・ザ・スーパージュニアの優勝者や、同大会で復帰する棚橋弘至、前IWGPヘビー級王者ジェイ・ホワイトの動向も見逃せない。大阪で新日本の勢力図が大きく変わるはずだ。【高場泉穂】