衝撃的とも言えるリストラ予告だった。米総合格闘技団体UFCのデイナ・ホワイト社長(51)が6日(日本時間7日)のファイトナイト・ラスベガス16大会開催後、契約選手の解雇に関して口を開いた。新型コロナウイルスによる一時興行中断前となる3月のUFC248大会でミドル級王座にも挑戦したヨエル・ロメロ(43=キューバ)が3試合の契約を残し、契約解除となった経緯を問われた時だった。

同社長は「ヨエルは過去5試合で4回負けている。(来年には)44歳でもある。ヨエルだけじゃない。年末には深刻な契約選手数の削減を行う必要がある。おそらく来年最初までに60人がカットされるだろう」と明かした。現在、UFCは世界17カ国から約650人の選手と契約しているとされるが「今の選手数は多すぎる。厳しい決断になる。今後、数週間で多くの選手の名前を(リストラ対象として)目にすることになるだろう」と厳しい表情をみせた。

長引く新型コロナウイルスの影響で、UFCのイベント開催事情が難しくなっている。最近でもメインイベントで組まれた選手がPCR検査で陽性判定となり。欠場を強いられるケースが続出。6日のUFCファイトナイト・ラスベガス16大会では開催直前に3試合が消滅する事態となっている。米国内の深刻な感染拡大がマッチメークにも大きな影を落としている。

現在、米ラスベガスやUAEのアブダビ・ヤス島にセッティングした「UFCファイトアイランド」を中心に興行開催しているものの、無観客のために興行収入が減少している。ロメロとの契約解除前にも、10度の防衛を誇った元ミドル級王者アンデウソン・シウバ(45=ブラジル)が1試合の契約を残し、UFCから引退した。ベテランを中心に少しずつリストラは始まっていた。

米国内にはUFCのライバル団体としてベラトールが存在。シンガポールを中心にONE、そして日本にはRIZINがある。もちろん他団体もUFCと同様のコロナウイルスによる経営打撃はあるだろうが、ビッグネームを含めた良いファイターたちが他団体で活躍することになれば、総合格闘技の活性化にもつながる。12月から来年1月まで、どのようなUFCファイターたちが契約解除になるのか。注視していきたい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)