角界で最も重い力士は? 歴代最重量は292・6キロの元大露羅のミハハノフ・アナトーリ・ワレリリエチェ氏(35)だが、引退して勢力図が変わった。新たに「最重量力士」の称号を手にしたのは、歴代4位の250キロ、西序二段60枚目謙豊(29=時津風)だ。「ついに1位になりましたか。わははっ。ちょっとうれしい」。その効果なのか、今場所は1番相撲から無傷の6連勝と絶好調だ。

ワレリリエチェ氏とはすれ違えば談笑する仲だった。同じようなシルエットに親近感がわいたのか、引退前には浴衣を譲ってくれた。「今まで同じサイズの人がいなかったので、お下がりは人生初でした」とうれしそうに話した。

今の体形は「不自由しかない」と爆笑する。移動は全てタクシー。好物のうどんは1日多くて3玉と、他の力士と比べて多いわけじゃない。太るコツは「動かないこと」だという。

7年前に210キロで入門。1年足らずで幕下まで昇進したが、重さに耐えかねたのか左膝前十字靱帯(じんたい)が切れた。その後は5場所に1回休場するペース。今年の7月は蜂窩(ほうか)織炎で3カ月入院し「死ぬ手前だったらしいです」と豪快に笑い飛ばした。綱渡りの力士人生を歩むが、口調はどこまでも明るかった。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


18日、琴真鍋(左)を激しく攻める謙豊
18日、琴真鍋(左)を激しく攻める謙豊