「白鵬翔という人がどういう人なのか、白鵬翔は相撲を通じて何を発信しているのか書きました」

横綱白鵬(35=宮城野)の専属トレーナーを約9年間務める大庭大業氏(ともなり、42)は、6日に発売された著書「白鵬の脳内理論」(ベースボール・マガジン社)の内容を端的に説明した。

同書籍は12年11月から専属トレーナーを務める大庭氏が、白鵬と出会ってから書き留めてきた12冊のノートを基に、白鵬の思考法などを紹介している。「相撲ってよりも、一人間のヒューマリズムを書いたつもりです。僕から見た横綱はよくしゃべるし、優しいし、弱さもある。そういうのは(外から見ると)分からないかもしれないと思い(書籍として)いろいろ残せたらなと思いました」。

大庭氏は過去に、投手としてプロ野球ソフトバンクホークスなどで活躍した馬原孝浩氏ら、多くのトップアスリートをサポートした実績があるが、中でも白鵬との時間は特に濃密という。12年11月に白鵬の専属トレーナーに就き、年間130日以上は寝食をともにする。場所中は1日4、5回はマッサージをすることもあるという。

付きっきりでサポートにあたる中で、白鵬が漏らす言葉や行動から印象に残ったものを、ポケットサイズのノートにメモしてきた。「横綱のちょっとしたしぐさや、なぜそれを言ったのかというところを書いていて、言葉の裏にどんな意味があるのか、考えながらメモをしてきた。それが(書籍に)つながるとは思いませんでしたが(笑い)」。

同書には白鵬も監修として携わっており“ダメ出し”を食らったこともあったという。昨年夏頃、1度書き上げた原稿を白鵬に見せた際に「オレと先生(大庭氏)の9年間はこんなもんじゃないだろう」とつっこまれた。「ちょっと浅く書きすぎた部分があったんです」と大庭氏。「現役中なので書いていいのかというところもあって。言ったら強さの秘密を暴露するようなところもあるので…」。遠慮していた部分があったが、白鵬には見抜かれていた。

白鵬からも助言を受けて、約1年間かけて完成したという同書。幅広い層に読んでほしいという。大庭氏は「社長が読んだら社員が読みたい、親が読んだら子どもに読ませたいという本をつくりたかった。(白鵬の思考法には)いろんな人がまねできる部分があると思います」と力強くアピールした。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)