大相撲の「力水」の所作で使う水は、福岡・直方市の米菓製造・販売「もち吉」から無償提供されている。昨年亡くなった先代社長の森田長吉氏は相撲愛にあふれ、91年に直方巡業を開催できたお礼に力水の使用を相撲協会に提案。翌92年春場所から無償提供を始めた。同社担当者は「先代から続く縁の下の力持ちとして大相撲を支える教えは受け継いでいきます」と話した。

環境省の「水源の森百選」に選ばれた福岡県・福智山系の地下水を使い、ミネラルバランスが優れた特長がある。担当者によると、これを「力水」に使う水として毎場所約400リットルを提供し、さらに毎場所各相撲部屋にも水を贈っている。今場所中には観戦チケットを持っている人を対象に会場前のブースで無償提供も行い、「相撲観戦のお供に」と呼び掛ける。

新型コロナウイルスで形式化していた力水は、今場所から本来の形になった。2020年初場所以来4年ぶりにひしゃくに口をつける形に戻り、初めて体験した王鵬は「縁起物ですからね」と喜びをかみしめた。天国に旅立った森田氏も、土俵に上がった時の関取衆の所作を見守り目を細めているに違いない。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

もち吉の「力水」(撮影・平山連)
もち吉の「力水」(撮影・平山連)
九州場所会場前の「もち吉」ブースでは観戦チケットを持っている人たちに「力水」を提供している(撮影・平山連)
九州場所会場前の「もち吉」ブースでは観戦チケットを持っている人たちに「力水」を提供している(撮影・平山連)
もち吉の「力水」の無料配布を告げるのぼり旗(撮影・平山連)
もち吉の「力水」の無料配布を告げるのぼり旗(撮影・平山連)