負けたカルモナ(メキシコ)は右の頬を腫らした顔で、報道陣の前に姿を見せた。

 「(井上は)グレートなチャンピオンだ。私はあらゆる努力をした。(井上には)おめでとうと言いたい。チャンスをくれて感謝している」と、完敗を認め、防衛した井上に祝福のコメントを残した。

 12回には連打を浴びてKO寸前に追い込まれた。「まとまったたくさんのパンチが頭に飛んできた」と、連打の場面を振り返り、空になったペットボトルを両手でつかみながら頭を振った。「私が井上を相手に12回までこのような戦いをすると誰も想像しなかった。私は大変満足している」。

 試合では新しいリングシューズを履いたが、右足の裏は大きく皮がめくれ、赤い肉がのぞいて痛々しかった。「7回以降はボクシングに影響した。ただ、これは言い訳じゃない。これがなくても彼は明確に私に勝ったと思う」。これで23戦17勝(6KO)2敗4分けとなった。再戦を希望するかと問われると即答した。「もちろんだ。ベストなチャンピオンにどうしても勝ちたい」。最後まで井上に敬意を払いつつ、全力でファイトした試合内容には何の後悔も、言い訳も感じさせず、すべての質問に丁寧に答えて足を引きずりながら会場を引き揚げて行った。