ボクシングのIBF世界ミニマム級王者京口紘人(23=ワタナベ)が29日、人生初の“講演”を行った。同ジムの井上トレーナーの母校、大阪・堺市の浜寺小を訪問し、特別授業の講師を務めた。

 世界ベルトを手に、スーツ姿で登場した京口は、6年生全2学級の69人に「夢」の大事さを訴えた。「みんな夢を持っていると思います。今ない人も持ってください。夢は頑張ればかなうものと思うし、僕はかないました」。目標に向け、あきらめずに頑張る姿勢の尊さを熱弁した。

 予想外だったのは、児童の活発な反応だ。質問コーナーでは次々と児童の手が挙がった。例えば。

 Q 試合でお金はいくらもらうの?

 「う~ん…サラリーマン1年分の給料より少し多いかな…」

 Q じゃあ350万円?

 「えー? いや、そこは想像にお任せします…」

 Q 殴られたら痛いですか?

 「痛いです」

 Q 何歳までできますか? 35歳?

 「35歳はきついなあ。32歳かな。あと8年ぐらい」

 

 …など直球過ぎるツッコミにたじたじとなる場面もあったが、終始笑顔で数十に及ぶ質問に回答した。また「筋肉見せてください」とねだられ、シャツを開いて腹筋を披露したり、井上トレーナー相手のミット打ちを、弱めのパンチで男性教諭相手にやってみたり。何でもありの大サービスだった。

 京口は「みんな、こっちが思ってる以上に興味を持ってくれて、うれしかったですね。あんなに質問が続くとは思わなかったですけど、僕は(講師が)初めてやったんで助かりました」。身長134センチ、体重28キロだった、自分の小学6年のころを思い出していたようだ。授業後には、休憩していた校長室にまで児童たちが殺到。ほぼ全員からねだられたサインも、一人ずつ名前を聞いて書き込む“神対応”ぶりで、児童を喜ばせていた。