奈良・王寺工高の3年コンビが、史上初の高校8冠を達成した。

 ライト級の今永虎雅(たいが)とウエルター級の荒本一成で、サウスポーの今永は兵庫・西宮香風高の宮垣仁に、オーソドックスの荒本は佐賀・杵島商高の成富丈一郎にいずれも判定勝ちした。

 アマチュアボクシングの高校タイトルはインターハイ、国体、選抜とあり、3月開催の選抜が3年は出場できないため、獲得可能な最大数が8個だ。WBOスーパーフライ級王者井上尚弥は相模原青陵高で5冠ながらシニアの全日本選手権、プレジデント杯に優勝し“高校でアマ7冠”を達成した別格の存在だが、WBAフライ級王者の井岡一翔(興国高出身)や元世界2階級王者粟生隆寛(習志野高出身)らの6冠を超える快挙となった。

 今永は「今まで経験したことがない気持ちになった大会でした。アップでも体がフワフワしたり…」とホッした様子。荒本は「1年の国体の時、3年の先輩が最後だったわけですけど、あの時の先輩の立場になったんやなあと感じます」という。

 「東京五輪の金メダル」を夢に掲げる2人は今永が東洋大、荒本が日大に進学予定。11月22日からシニア大会の全日本選手権に推薦出場する。2人は「出る以上、優勝目指して頑張る」と、井上以来の“高校生王者”を目指す。

 王寺工高監督で、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太を指導した経験のある84年ロス五輪代表の高見公明氏(57)は「2人には“2年の途中までは、おまえたちの方が村田より上やったけど、今では当時の村田が上”と言ってます。村田は当時からスタミナが抜群でした。2人はこれから大学で、体力のある相手とがんがん練習を積んで力をつけてほしい。そうすれば(東京五輪代表の)可能性は十分にあります」とエールを送った。