元WBA世界スーパーバンタム級王者で同フェザー級7位の久保隼(28=真正)が再起戦を白星で飾った。

 昨年9月に初防衛に失敗して以来のリングは、階級転向初戦。同級で世界挑戦経験のある元東洋太平洋王者・大沢宏晋(32=ロマンサ)に判定2-1の辛勝だった。

 サウスポーの自分とオーソドックスの相手は距離をつぶし合う展開になり、互いにホールディングで減点1を食った。左ストレートで大沢に鼻血を出させたが、自分もバッティングで右上まぶたをカットし、激しい流血戦になった。

 久保は2回に上の差し歯の前歯が折れた。「ショックです。また治療に行かなあかん」と冗談めかしたが、今回の白星は「人生を立て直す、分岐点」というほど価値があった。「世界戦で負けて、いろいろあって『もうリングに上がられへんから』と思った時があった。ジムの後輩に『もうオレと関わるな』と言ったり…」。だが、それでも支えてくれたジム仲間、自分のサイン入りチケットを大事に持ってくれているファンらに後押しされた。1月末に歴戦の猛者・大沢とのマッチメークが決まり、腹を決めた。

 世界ランクが上がる可能性は高い。「偉そうなことを言いますが、これからは意味のある試合を重ねたい。今日の大沢さんとの試合のような」。もう1度、世界ベルトを巻くための第1歩を踏み出した。