井上尚弥(25)の弟でWBC世界バンタム級3位井上拓真(22=大橋)が世界前哨戦と銘打たれた一戦で鮮やかな1回KO勝利を飾った。

 ワルド・サブ(29=インドネシア)に対し、序盤から丁寧なボディー攻撃で主導権を握ると、右アッパーからの左ボディーでダウンを奪った。1回2分14秒、KO勝利。16年5月のタンボレシ(インドネシア)戦以来のKO撃破をマークした井上拓は「プロ初のボディーのKOでした。入った瞬間、KOだと思いました」と左拳に感触が残る、手応え十分の一撃を振り返った。

 16年11月に右手の甲と手首をつなぐ関節の脱臼部分を手術を受け、世界挑戦のチャンスを逃した。17年は経験豊富な実力者に連勝。同8月に4度の世界挑戦を経験する久高、同12月には元日本バンタム級王者益田に判定勝ち。この前哨戦に備え、フィリピン、中国、英国、メキシコのボクサーとのスパーリングで実戦的な経験値もアップした。

 「世界戦とか長丁場の試合になればボディー中心に攻めていかないといけない。アップ中にナオ(尚弥)のナルバエス戦(WBO世界スーパーフライ級王座挑戦)の動画が流れていて左ボディーだなと思った」と井上拓。「モンスターの弟」と呼ばれる続けており「世界戦までにちゃんとした愛称がほしいです。ファンの方にも募集したいです」と強調した。