IWGPヘビー級王者オカダカズチカの歴代最長、最多防衛記録を重ねた長期政権が終わった。

 挑戦者にケニー・オメガを迎えて13度目の防衛に挑戦。同選手権史上初となる時間無制限3本勝負で争ったが、28分47秒で1本目を先取しながら、19分10秒、16分53秒と連取を許し、合計64分50秒の死闘に敗れた。5月の福岡大会で歴代最多V12を樹立したばかり。2年に及ぶベルト保持期間にピリオドが打たれた。

 昨年大会では60分時間切れ引き分けに終わったオメガを自ら指名しての大一番。その続きとして、前代未聞の「決着戦」だった。ペース配分なども戦略が求められる中、これまで1勝1敗1分けと五分の両者は、序盤から激しくぶつかり合った。

 オカダがゴング直後にいきなりのレインメーカー(短距離式ラリアット)。かわしたオメガが片翼の天使で、これも不発で両者がもつれるように場外へ落ちた。必殺技の応酬を火ぶたに、場内外で攻防戦が繰り広げられた。

 1本目を奪ったのはオカダだった。互いに大技を回避し続けたが、回転エビ固めに来たオメガを上から巧みにマットに押しつけて3カウントを奪った。すきを見逃さないテクニックを披露し、さらに2本目開始直後にレインメーカーをこの日初めて決めるなど流れをつかんだかに見えた。

 ただここから徐々に逆襲を受けた。無尽蔵のスタミナに自信をみせていたオメガの運動量が落ちない。むしろ加速していく。雪崩式蒼い衝動、Vトリガー、さらに片翼の天使を決められ2本目を奪われた。オカダは3本目までの2分のインターバルも大の字のままで立ち上がれず、開始直後には容赦なく背後からのVトリガーを決められた。

 合計試合時間が60分に近づくと、もはや両者ともに体力の限界。ふらつき、担ぎ上げることができず。最後はオカダがレインメーカー、オメガはジャーマンスープレックスの打ち合いになった。互いに意識もうろうとしたままロープに持たれる中、最後にアクションしたオメガに正面からVトリガーを受け、こん身の片翼の天使で王座陥落となった。

 16年6月11日の大阪城ホール大会で王座戴冠してから約2年。最強王者として数々の印象深い試合を続けてきたオカダ。試合後はコメントを残さずに、会場を後にした。