WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が30日、都内で2度目の防衛戦を発表した。10月20日(日本時間21日)に米国ラスベガスで行う同級2位ロブ・ブラント(米国)との指名試合は、動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」による日本人の世界戦初の生中継が決定。Jリーグと超大型契約を結んだ巨頭とのタッグ。今後、日本ボクシング界にも資金投下を呼び込むアピールの場として、ラスベガスでは日本人王者初のKO防衛を誓った。

ブラントと最終的に契約締結したのは、30日未明だった。帝拳ジムの本田会長によれば、当初は同級9位クィグリーとV2戦を計画。だが防衛戦を認めていたWBAが6月、突如ブラントとの指名試合を指令した。村田陣営が応札しないまま次戦興行権入札をブラント陣営が落札したが、WBAの一方的な姿勢に激怒した本田会長は王座剥奪も辞さない態度を示していた。

現在ミドル級は3団体統一王者だったゴロフキンがIBFから王座を剥奪され、ベルトのチャンスが増えている。決定戦などで上位ランカーの需要は高まり、強気に出られる土壌があった。その流れに乗ったブラント側だったが、風向きが変わったのは声をかけてきていた中継局の後ろ盾が崩れたため。ノンタイトル戦もいとわない村田陣営に試合不成立の危機を感じ、最終的には「寄ってきた」(同会長)という。

入札は無効となり、両陣営で再交渉の結果、指名試合が成立。村田は敬意を欠いた相手側の態度に、「強引な所があったみたい。感情的になりそうな自分がいるので、冷静に戦わないと。そのあたりもテーマ」と怒りを押し殺した。