来年1月4日の東京ドーム大会でのIWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦で、保持者の棚橋弘至(41)がオカダ・カズチカ(31)を35分43秒の熱戦で下し、防衛を果たした。

最後はほふく前進でコーナーへ向かった。両膝は限界を超えていた。歩くことさえままならなかった。完治はない変形性関節症を抱える右膝だけではなく、この日は試合序盤に場外で左膝を痛打。その後はオカダの非情攻撃の餌食に。それでも、痛みに耐え、はってでも勝機を探った。そして、たどり着いたコーナー上から、最後は3度もハイフライフローを見舞った。

中盤、痛む両膝を犠牲にするツームストンパイルドライバーを放った。場外の硬いマットに自らの膝を打ち付け、肉を切らせて骨を断ちにいった。「リスクを取る」。この試合も同じだった。G1クライマックス制覇で手にした権利証を差し出し、オカダを逆指名。「G1後のファンのテンションを下げたくなかった」とあえて賭けに出た。

今年は負け、引き分けと苦しんだオカダに雪辱。15年1月以来の勝利で、通算成績も5勝5敗3分けの五分に戻した。試合後にはホワイトの急襲を受け、勝利のパフォーマンスをできず。「俺がオカダに勝つのに何年かかったと思ってるんだ」とホワイトに憤っていた。【阿部健吾】