ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)がWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)と激突するワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝は11月に日本で開催されると5日(日本時間6日)、米メディアに報じられた。米報道と同タイミングで、井上は6日から横浜市の所属ジムで約3カ月ぶりにスパーリングを再開し、WBSS決勝に向けてスタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

WBSS決勝の正式決定は秒読み段階に入った。複数の米メディアの報道では11月7日が濃厚とされ、米専門サイト「ボクシングニュース24」では、さいたまスーパーアリーナが会場に浮上したと報じられた。

正式発表前から次々と米国発信の報道が続き、大橋会長は「11月です」と話すにとどまったが、井上が5階級制覇王者ドネアと拳を交えるWBSS決勝の注目度の高さをうかがわせた。

「(報道が)盛り上がるのはいいんじゃないですか」と笑顔で反応した井上は、6日から所属ジムで本格的なスパーリングを開始した。5月に英グラスゴーで開催されたエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)とのWBSS準決勝前の4月末以来、約3カ月ぶりとなる本格的な実戦練習。拳を交えた相手は、16年リオデジャネイロ五輪代表で、来年の東京五輪代表候補でもある森坂嵐だった。

4回にわたって緊張感あふれる打ち合いをみせ「刺激をもらってますよ。やっぱり(森坂は)うまいですからね」と好感触を口にした。今年3月以来となるスパーリングパートナーを務めた森坂も「やっぱり『すごみ』がありますね。カウンターを合わせたくてもかわすのがやっと。勉強になることばかり」と動きの良さに脱帽した。

先月末には4泊5日で、沖縄・宮古島で家族旅行を兼ねた強化合宿に取り組んだ。10キロ走などを消化。下半身を強化し「結構、走りましたね。体作りはできた」と自ら及第点を出した。あとは近日中とされるWBSS決勝の正式発表を待つばかり。井上は「ここからがスタート」と気合を入れ直していた。【藤中栄二】