ボクシング元IBFスーパーバンタム級王者で同1位岩佐亮佑(29=セレス)が同3位マーロン・タパレス(27=フィリピン)を11回1分9秒TKOで下し、暫定王座を獲得した。

17年4月、WBO世界バンタム級王座戦の計量失敗で王座剥奪されたタパレス相手に岩佐は3回にダウンを奪い、4回には左ストレートをさく裂。「ラストチャンス」と位置づけた覚悟のリング。タパレスが中盤から失速する中、最後までスタミナをきらさず、11回に鮮やかな左ストレートで倒した。

17年9月に王者となったが、昨年8月の2度目の防衛戦でT・Jドヘニー(アイルランド)に敗れ陥落。今年2月、セサール・フアレス(メキシコ)とのIBF世界スーパーバンタム級王座挑戦者決定戦を制し、再起2戦目で訪れた返り咲きへのチャンスだった。この勝利で、WBA、IBF同級統一王者ダニエル・ローマン(米国)との統一の権利を得て、さらなる大舞台への扉が開いた。

プロデビューから11年目。今が1番「のびのびやっている」と充実感を口にする。世界王者となった17年ごろは、プレッシャーのあまり、3時間おきぐらいに目が覚める「中途覚醒」という不眠症に悩まされた。昨年王座から陥落し、現役続行を決めた後は、「負けてもいいから大好きなボクシングをやろうと」と肩の力を抜いて、ボクシングに向かえるようになった。楽しいからこそ、肉体改造など新しいことにどんどん挑戦できる。結果、小林昭司会長が「今までの岩佐で1番強い」と驚くほど、心身ともに成長を遂げた。

目標がある。「井上尚弥とやること」。現在バンタム級の井上が階級を上げる時まで、スーパーバンタム戦線に残り、対決することを願う。「あそこまで強ければ。絶対やってみたい。だからこそ、勝ち続けなきゃいけない」。ビッグマッチ実現のため、さらに自分を高めていく。