覆面レスラーのスペル・デルフィン(53)がプロデューサーとなり、4月からYouTube専門のプロレス団体を設立することが17日、分かった。YouTubeによる試合の配信は最近の流行だが、専門の団体発足は画期的な試みになる。

ZOZO創業者・前澤友作氏(45=スタートトゥデイ社長)が公募したふるさと納税の寄付先に、大阪・和泉市議のデルフィンが今回の企画で応募し、採用された。前澤氏から同市に寄付された500万円の一部を使い、デルフィンが地域振興の一環で始める。団体名は近く発表される。

旗振り役のデルフィンは「今はテレビじゃなく、YouTubeを見る時代になり、子どもたちにプロレスを見て夢を持ってほしい。YouTubeだからこその、新しいジャンルのプロレスをつくっていきたい。団体の意義として、もっとおもしろいプロレスにしていきます」と説明する。

映像には効果音や文字入れなどをし、演出面に工夫を凝らすという。コロナ禍だけに興行に依存するのではなく、世界中から視聴できるYouTubeの利点を生かす。

既に設立準備に取りかかっており、大阪を拠点に活動するアイドル女子レスラーの花園桃花(21)が、選手第1号兼総監督への就任が内定。今後は入団オーディションを行い、最大5、6人の選手を受け入れる。9人組ガールズグループ「NiziU(ニジュー)」が誕生する際のオーディション番組のように、その過程も配信する。

配信する番組内では、プロレス以外にも女子サッカー、女性芸人にもスポットを当てる。和泉市に拠点を置く女子サッカークラブ「和泉テクノFC」がなでしこリーグ昇格に挑戦する過程や、松竹芸能の協力で女芸人NO・1決定戦「THE W」(テレビ番組)出場を目指す女性芸人の奮闘も配信する。プロレスを含めて3本柱のコンテンツを用意。時にプロレスラーが漫才に挑戦するなど、異業種交流の企画も行うという。

「プロレスラーは、プロレスだけしていればいいのではない。最近はメジャー団体の選手でさえ、個性がなくなり、みんな同じ選手に見えてしまう。個性を持つには、いろんな感受性を身につけ、時にはお笑いに挑戦して総合力をつけるのもいい」

デルフィン自身も6万人の大観衆が入った東京ドームでプロレスをしただけではなく、映画やテレビに出演したり、「M-1グランプリ」で漫才に挑戦し、3回戦に進出した経験もある。

デルフィンからスター選手の期待をかけられ、リーダー役の総監督に指名された花園は「私はデビューして3年目。まだ何もできないが、いただいたチャンスに全力で挑戦したい。その頑張りがいろんな人に伝わり、プロレス界が盛り上がれば」と意気込む。

大阪府南西部に位置する和泉市は関西空港から約20キロにあり、人口は約18万5000人。「すてきな街なのに全国的に知名度は低い。これを機に全国に和泉市をアピールしたい」というデルフィンが、故郷和泉市を拠点にYouTubeでエンターテインメントの頂点を目指す。【横田和幸】

◆スペル・デルフィン(本名・脇田洋人=わきた・ひろと)1967年(昭42)9月22日、大阪・和泉市生まれ。21歳の時、オランダでプロレスデビュー。FMW、ユニバーサル、みちのく、大阪を経て現在は沖縄プロレス社長、海鮮プロレスのプロデューサー。和泉市議は20年9月に3選を果たす。172センチ、80キロ。家族は夫人のタレント早坂好恵と1女。

◆前澤友作氏の寄付 前澤氏が20年11月19日、ツイッターでふるさと納税約8億円の寄付先を公募。お金を有効活用できる各自治体からの企画やアイデアを求めた。その1カ月後に提案・応募した156すべての自治体に500万円ずつ、総額7億8000万円をふるさと納税で寄付することを公表した。返礼品はすべて辞退している。