GHCヘビー級王者の武藤敬司(58)が、2月に王者になって以来、初めて敗れた。

4月29日名古屋大会で防衛戦を戦うマサ北宮(32)との前哨戦で、監獄固めで足をキメられ、まさかのギブアップ。昨年4月のノア参戦後、武藤自身が敗れるのは、今年1月4日に潮崎に3カウントを奪われて以来、2度目の屈辱となった。

2度の北宮の監獄固めに珍しく激しい悲鳴を上げた。完全に膝の上に乗られ、身動きが取れなかった。1度目は丸藤がカットに入り、何とか逃れたが、2度目はなすすべなく、叫ぶことしかできなかった。頭突きをくらい、額から流血。レフェリーが試合を止めた。試合後は悔しそうな表情を見せ、無言で会場を後にした。

先発を買って出るなど、序盤から軽快な動きを見せていたが、北宮の逆襲に屈した。2月12日に初戴冠、3月14日に初防衛戦を行った。普段から「タイトルマッチは年数回でいいと思っているが、ノアが許してくれないんだよ」とぼやくが、約1カ月ぶりの試合で躍動した。串刺しシャイニングウィザード、ドラゴンスクリューなど、技を試しながら、足4の字固めなどで相手を追い込んでいただけに悔しい敗戦となった。

武藤のお株を奪うような得意の足技で、ギブアップさせた北宮は「チャンピオン、膝の調子はどうだ? 何度でもたたきつけてやる」と自信満々。さらにGHCヘビー級5度目の挑戦となる29日の本番に向けて「これまでいろんな悔しい思いをしてきた。テメェとはベルトに対する執念が違うんだよ」と言い放った。

タイトルマッチまで残り10日。武藤は試合直後、痛めた膝を押さえるシーンもあったが、仲間の手を借りず、1人で花道を歩いて帰り、元気な様子を見せた。「せっかくベルトを取ったから、少しは防衛を重ねていきたい」と語る武藤。タイトル獲得から2カ月。まだベルトを手放すわけにはいかない。