暗闇の恐怖から解放された。KOPW2021争奪戦は、タイトル保持者の矢野通(42)がEVILに勝利し、防衛に成功した。

黒頭巾を相手にかぶせた場合にのみ、フォールなどの決着がつけられるルール。序盤からピンチの連続だった。場外でパイプ椅子を首にかけられ、もう1つの椅子で殴打。さらに手首をテーピングで鉄柵にグルグル巻きにされ黒頭巾をかぶせられた。「動けない」と叫ぶ中、場外カウントがコールされたが、首を振って頭巾を脱ぎ、危機を回避した。

中盤には黒頭巾のまま、リング下に入れられたが、目の部分を切り取って暗闇を脱出。さらにセコンドの東郷が場内を暗くした間に襲撃されたが、すぐに相手に黒頭巾をかぶせ、EVILと東郷を同士討ちで流れをつかんだ。その後、一瞬のスキをついて丸め込み、3カウント。「こんなにうれしいことはない。素晴らしい!」と満面の笑みで叫んだ。

勝利後は、前試合で黒塗りにされたトロフィーを用意していたスプレーで金色に塗り、元通りに。「前よりも輝いている。見てくれ、この太陽に照らされたような金色に輝くマイベイビーを」と興奮気味に語った。

3月16日のニュージャパンカップ準々決勝で暗転中に襲われ、その後は暗闇がトラウマに。前哨戦では黒頭巾をかぶせられ泣きわめくシーンもあった。「ギリギリまで追い詰められていた。夜も眠れず、実は昨日も30分しか寝ていない」とこれまでの苦悩を明かした。

今大会は事前にお互いに提案したルールをSNSのファン投票で決定。EVIL提案の「ダークネスマッチ」とわずか907票差で勝利し、矢野の黒頭巾マッチに決まった。苦手な暗黒を自らもルールとして提案。トラウマを見事に克服した。「信じ続ければ輝きを取り戻せる。明けない闇はない」。金色に輝くトロフィーを見つめながら、勝利に酔いしれた。