GHCヘビー級王者・武藤敬司(58)がマサ北宮(32)を破り、2度目の防衛に成功した。終盤コーナーで痛めつけられ、劣勢の武藤が突然、レフェリーを踏み台にしてシャイニングウィザードを決めて逆転。その後も前後から3連続でたたみかけて一気に沈めた。

GHCヘビー級挑戦5度目となる北宮の執念に、劣勢が続いた。110キロの体を軽々と持ち上げられ、リングにたたきつけられた。さらに18日の前哨戦でギブアップした時と同じように、監獄固めで何度も追い込まれた。「1回やって免疫はできているので大丈夫」と話していたが、想定以上の強烈な絞め技に、全く動けず、悲鳴を上げるシーンが続いた。頭突きも浴び、万事休すかと思われたが、何とかロープに逃げて切り抜けた。「勝ち負けはホント、ギリギリだった」と胸をなで下ろした。

武藤も尊敬する故・マサ斎藤さんの魂を受け継ぐ北宮との試合。「マサさんが見てくれてるんだろうなと思いながら試合をしていた」と振り返った。北宮に対しては「名前を継承していいのか査定させてもらう」と試合に挑んだが、敗戦寸前まで追い込まれた実力を素直に認めた。「マサ斎藤の名前を受け継いでいいよ。俺が後見人になってやる。本当に強くなった」。それでも米国で一緒に戦うなど、苦楽をともにしてきた斎藤さんの実力にはまだ届いていないといい「マサ(斎藤)さんはもっとデカかったし、重かった。北宮には伸びしろがあるし、もっと精進して名前を汚さないように頑張って欲しい」とエールを送った。

試合後には同じユニット「M's alliance」の丸藤が「戦って欲しい男がいます。僕とタイトルマッチいかがでしょうか」と挑戦表明。武藤は「意表を突かれた」と言いながらも、いつものLOVEポーズを見せ、笑顔で承諾した。決戦は6月6日、さいたまスーパアリーナ。ノアを旗揚げした故・三沢光晴さんのライバルだった武藤が、三沢さんを師と仰ぐ丸藤の挑戦を受けて立つ。