姶良市出身の飯伏幸太(38)が、昨年12月以来となる地元凱旋(がいせん)で、勝利を収めた。

今月4日両国大会でオスプレイに敗れ、自ら提案して創設された、IWGP世界ヘビー級の初防衛に失敗。その後負傷していた足の傷も癒え、25日ぶりにリングに戻ってきた。

棚橋と組んで、コブ、ヘナーレ組と対戦した飯伏は、久しぶりの試合で、みなぎる闘志を見せたかったのか、ニーパッドをつけずに入場。「地元で楽しくプロレスができて最高」と、高い位置からのドロップキックや、勢いのあるエルボー、強烈なジャンピングニー、カミゴェなど軽快な動きでファンを魅了した。横で戦った棚橋も「久しぶりに組んだけど、正直言って別人だった。今日は飯伏の力で勝った」と目を細めた。

高校時代まで過ごした思い出の詰まった地で、地元のスターが躍動した。小学生時代、家族とプロレスを見に行き、興味を持った飯伏少年は、周りの目も気にせず、夢に向かって真っすぐに進んだ。プロレスに対する熱い思いは、職業となった今でも少年時代と何も変わっていない。「休んでいる間に、何か満たされない部分があって、今日少しだけ満たされた。プロレスって楽しくないですか? プロレスができて本当に幸せ」と素直な気持ちを語った。

プロレスラーになったころは、路上など、お客さんがほとんどいないところでも興行を経験。コロナ禍で中止となる地域もある中、観客の前で、しかも地元で試合ができることに喜びを感じている。「見に来られる場所が減っている中、制限はあるけど、何千人の前で試合ができるだけでうれしい」。もちろん、自分が満足するだけでなく「元気を与えたい。プロレスの力をみんなに伝えたい」と役割も理解している。

試合後には対戦したコブにシングルマッチを要求。「まだまだ刺激が足りない。もっとください」と5月15日横浜スタジアム大会での対決を熱望した。レスリングで五輪出場の経験もあるコブに対し「彼はアスリート。自分にはその能力が欲しい。今、1番悔しいと感じている」と明かした。「僕はチャレンジする」。失ったベルトを取り戻すため、飯伏が大好きな鹿児島から再スタートを切った。