WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(29=BMB)の9度目の防衛戦が5日、発表された。同級1位矢吹正道(28=緑)と9月10日、京都市体育館で対戦する。ボクシング漫画「あしたのジョー」の矢吹丈からリングネームをもらった挑戦者を「北斗の拳」のケンシロウから命名された王者が迎え撃つ。

格闘系漫画の“主人公決戦”だ。大阪市内で会見した拳四朗は「あしたのジョー」のイメージに「減量中に水道の蛇口を針金で縛って…」とジョーの宿敵・力石徹のエピソードを持ち出した。「いや、そうやってよく聞かれてきたんです。減量ってそんなにきついのって」。いくら有名でも昭和の漫画はよく知らない。

挑戦者の矢吹もよく知らない。「そこまで(動画などを)見てないんで。すごく強いでしょうけど、余裕で勝つイメージしかない。僕の距離で戦って普通にやれば、中盤ぐらいにはKOで終わるんじゃないですか」。4月の久田戦に続く日本人対決。世界戦10度目で初めて地元・京都が会場という喜びはあるが、元WBA世界同級王者・具志堅用高氏の持つ日本記録V13を目指す安定王者はV9戦も「通過点」だ。暗殺拳継承者が伝説のヒーローを葬るつもりだ。【加藤裕一】

○…矢吹の本名は「佐藤正道」だ。「佐藤はおもしろくないでしょ? いろいろ(リングネームの候補を)考えて」と説明。候補に「ウルフ」もあったが、ジョーの敵には「ウルフ金串」もいる。「それは知らんかったんですけど、すでに“ウルフ”ってボクサーがいて」断念した。矢吹は拳四朗を「距離感、ジャブ、下半身はめっちゃ武器」と警戒しつつ「彼の距離は僕の距離。KOしに来てくれたら、絶対にKOできます」と自信を見せた。