5階級制覇のWBA女子世界フライ級王者藤岡奈穂子(45=竹原慎二&畑山隆則)が、念願の米国デビュー戦でV3に成功した。WBO同級6位スレム・ウルビナ(31=メキシコ)と対戦。前半からプレスをかけて試合を優位に進めた。採点はジャッジ1人が95-95でドローとしたが、2人が99-91、96-94で2-0での判定勝ちを収めた。

藤岡はアウェー戦に序盤からプレスをかけて攻めた。「初回からポイントを取らないといけないと思った。最初は取られたと思ったが、終始、プレスをかけながら強いパンチを当てていくことを心掛けた」という。中盤からは落ち着いた試合運び。「途中からボディーが効いてきたのか、相手が疲れているのがわかった。試合が組み立てやすくなった」と振り返った。

これまでメキシコで2試合、ドイツで1試合していた。今回は海外4戦目で初めての米国。17年に初めて米国でスパーリング・キャンプに行った時から、米国のリングに上がることを目標としていた。「米国のリングは楽しかった。勝てて、まだ少しボクシングを続けることができるのでうれしい」とコメントした。

19年7月にWBO女子世界ライトフライ級王者天海ツナミ(36=山木)と引き分けて以来の試合だった。2年のブランクも1年半前からは知人の指導でフィジカルとダッシュを毎朝欠かさず。来月には46歳となるが衰えどころか成長を感じている。

試合決定当初は1ラウンドが2分ではなく3分の予定だった。そこで通常3分のキックボクサーを相手にスパー。3分10回でもスタミナに問題はなかった。結局は1ラウンド2分となったが、慣れない屋外リングでの試合にも「暑かったが集中していたので気にならなかった」と話した。

試合後はリングサイドで天海を応援した。「こっちは完全アウェーなので、1人でも声援が多い方がいいと思った」と第一人者らしい弁。天海は大差判定負けしたが「接戦で採点はツナミに厳しいと思った。相手は手数が多くてうまかった」と評した。

同じ女子格闘家では里村明衣子が、欧米のリングに参戦して活躍している。藤岡も親交があり、今回の遠征に向けては弁当箱炊飯器をプレゼントされた。「刺激になっている。めいちゃんのように、海外でベルトを掲げたい」という願いもかなえた。「また米国のリングに呼んでもらえたら。タイトルうんぬんではなく誰と戦うか」とビッグマッチを望んだ。