19日に行われるRIZIN30大会(さいたまスーパーアリーナ)で、バンタム級トーナメント2回戦に出場する井上直樹(24=セラ・ロンゴ・ファイトチーム)は、今回もKO、一本勝ちにこだわる。

6月の1回戦では、石渡と対戦。最初に相手の右フックで膝を突いたが、その後に右ストレートで逆襲。最後はサッカーボールキックを見舞い、1回TKO勝ちした。優勝候補の呼び声も高い井上は、今回も「差を見せつける」と静かに闘志を燃やす。

激しいパフォーマンスとは違い、普段は至って温厚。7月の会見では対戦する金太郎(28=パンクラス大阪稲垣組)から挑発を受けたが「すごい戦闘態勢に入ってるなと。怒りというか、普通に『来るならやってやろうかな』みたいな感じ」と冷静に対応。「自分の好きなようにやっていければ」と全く気にしない。

昨年からUFCなどで活躍した水垣偉弥氏とパーソナルトレーニングを行う。「ストライカーで、タックルとかスクランブルも強いので、いろいろ取り入れている。身体も大きくなっているなと、見た目でわかるようになってきた」と手応えを口にする。打撃や蹴りが注目されるが、レスリングの技術も出稽古などでしっかり学んだ。

小1の時に母親から「何かやりなさい」と言われて空手を始めた井上は、15年にプロデビューを果たすと、17年に日本人最年少となる19歳でUFCと契約。約2年間海外で修行を積んだ。空手を一緒に始めた姉・魅津希も現在、キックボクサーとしてUFCにも参戦し、勝利を挙げている。

RIZINでは4戦負けなしで一本勝ち、KOで3勝と勢いは止まらない。いずれは海外への再挑戦も視野に入れる。堀口のベラトール参戦に「日本人から海外に行く選手が増えるのはすごくうれしい。機会があればやってみたいし、ベラトールに行くのもありかな」と語る。「バンタム級トーナメントも海外挑戦のためにやっている」。終始落ち着いた表情の井上は、リング上で激しいファイターとなって優勝まで駆け上がる。【松熊洋介】