ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が21年世界戦の大トリを務める。14日、東京・両国国技館で控えるIBF同級5位アラン・ディパエン(30=タイ)との防衛戦(WBA6度目、IBF4度目=日刊スポーツ新聞社後援)に向け、7日に横浜市内の所属ジムで調整。「相手どうこうではなく、見ているファンに何を伝えられるかが1番。今回決まった試合を見てくれるファンが何かを感じてもらえればという思いでリングに上がるつもり」と意気込んだ。

11月29日に発表された政府による外国人の新規入国を原則禁止した影響で、29日にさいたまスーパーアリーナで開催予定だった過去最大規模のビッグマッチ、WBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(帝拳)-IBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦をはじめ、大みそかに東京・大田区総合体育館で予定されたWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(志成)-IBF世界同級王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)戦など日本人王者の世界戦3つが延期となった。

結果的に19年11月のドネア戦以来、約2年1カ月ぶりの凱旋(がいせん)となる井上の14日防衛戦が今年の日本人王者によるラスト世界戦となった。「年末の試合を楽しみにしていた方たちは試合がなくなり、自分の試合が今年ラストだと思う気持ちはあるかもしれないですが、自分は自分の試合をこなすだけ。12月14日の決められた日にやることをやるだけです」と防衛戦に向けて集中力を高めている。

14日は5000人以上の有観客興行となる。4日に一般販売されたチケットは即日完売となった。井上は「すごくありがたい。感染対策に気を付けながら楽しんでもらえれば。その中で結果を出せば、今年は最高の1年で終われると思う。いろいろと楽しみ」と歓迎した。今回はひかりTV、ABEMAによるPPV配信される。「PPVを買って楽しみにしてくれるファンもいる。そういうファンの気持ちも背負って2年ぶりのリングに上がりたい」との自覚を示していた。