「牛馬対決」に敗れ、豪快に料理された。8月のデビュー戦以来、格闘技2戦目となった元光GENJIで俳優の大沢樹生(52)が、飲食店経営者でプロボクサーのライセンスを持つ森田隼人(43)に2回KO負け(キックボクシングルール)を喫した。

「ボクシングではかなわない」と練習してきた蹴りで序盤から向かっていった。それでも約10年ぶりの試合とはいえ、現在トレーナーも務めている「プロ」のパンチ。かわすことができず、まともに受けたが倒れるどころか「もっと来い」のポーズを見せるなど気持ちを前面に出した。2回でレフェリーに止められると「チクショー」とロープをたたいて悔しがり、コーナーポストを蹴り上げた。「やっぱり強いなあ。スキがない。でも自分が甘かった」と連敗に肩を落とした。

11月の会見では「ローラースケートで三半規管ボロボロ」、「来年53歳になるのではげないように気を付けます」などと初対面の相手にジョークを連発。森田の笑いを誘い“前哨戦”では勝利していた。前日計量では、都内で焼き肉店を経営する森田から「左ボディーで大沢さんのレバーを焼き上げたい」と挑発を受けたが、馬肉料理のレストランを経営している大沢も負けじと「牛対馬じゃ。来いよ、隼人!」と応戦した。

言葉とは裏腹に厳しいトレーニングで追い込んだ。前回65キロだったが、今回は61キロ。「最後の2キロくらいが落ちにくかった」と減量の苦労を明かした。元ボクシング元王者の西島洋介とスパーリングを行い、自宅でもサンドバッグを打ち込んだ。米格闘技UFCの映像を見て研究。「1カ月前から恐怖感が襲ってくる」と話していたが、メンタルを克服し、本番を迎えた。

強力な“助っ人”にも応えたかった。セコンドには、デビュー戦で敗れた同じ俳優の木下ほうか(57)の姿。前回対戦時が初対面だったが、拳を交えたことで意気投合したのか、木下自ら「勝たせたい」とリングに駆けつけたという。ラウンド間には木下からのアドバイスにうなずくシーンも。試合後には抱き合って感謝の気持ちを伝えた。

敗れはしたが、大沢の目は死んでいない。「光GENJIという過去の栄光は捨てて、今後とも精進していく」。悔しさをバネに次なる戦いを見据えた。

勝利して“パラダイス銀河”を夢見る“ガラスの50代”は、まだまだ終わらない。【松熊洋介】