人間宣言のGHCヘビー級王者藤田和之(51)が、人間を捨て「野獣」に戻った。

両国大会(30日、東京・両国国技館)同級選手権試合の前哨戦となったメインイベントのタッグマッチで、GHCタッグ王者の杉浦と組み、次期挑戦者の潮崎豪(40)、田中組と対戦。試合終盤、潮崎に剛腕ラリアットを食らって場外に転落すると、その場面がやってきた。

セコンドのケンドー・カシンからハイボールを受け取ると、一気飲み。目の色が変わった。エネルギーをチャージしたかのように潮崎に襲い掛かると、ラリアット、バックドロップ、パワーボムで一瞬にして形勢逆転。最後は顔面を蹴り上げてノックダウンさせると、片膝で抑え込んで3カウントを奪った。

それでも藤田の猛攻は収まらず。リングに倒れこんでいる潮崎に構わずにストンピングの連打。潮崎を助け出そうとした田中、さらにはなぜか仲間の杉浦をも蹴散らしてしまった。

人間離れした圧倒的なパワーから「野獣」の異名を取ったが、GHC戴冠を機に「人間宣言」した。2月にフリーからノア正式加入を発表した際には「これからは野獣ではなく、人間、藤田和之として生きていきます。ご迷惑をおかけしました」と宣言していた。

この日は、抑え込んでいた鬱憤(うっぷん)が爆発したのか。ハイボールをスイッチに、我を忘れてしまった藤田。「コメントなんかねえよ! アイムノア! アイムチャンピオン!」と叫んで去っていく姿は、まさに野獣そのものだった。