元WBO世界フライ級王者木村翔(33=花形)が約2年3カ月ぶりの試合で1階級下の若手に引き分けた。ライトフライ級の成長株となる堀川龍(22=三迫)とのフライ級8回戦に臨み、0-1(75-77、76-76×2)のドロー。20年2月、フィリピンでメルリト・サビーリョ(フィリピン)に2回TKO勝ちして以来のリングで勝利できず「何も言うことがない。自分の中で良いボクシングができなかった。自己採点は20~30点」と反省した。

18年9月、WBO王者として田中恒成(畑中)に敗れて以来、約3年8カ月ぶりの国内マッチでもあり、1回は「力んでいるかな」という状態だった。2回以降には本来のファイターらしく、左フック、左ボディーなどの強打を打ち込み「うまく力が抜けた」と手応えもあった。6回にはワンツー、左フックで追い込んだ場面もあったが、終盤の7回以降で「効いたパンチはなかったが、足がしんどくなった」と失速していた状況だったという。

試合決定を待ちながら中国で調整していた昨年12月、現地プロモーターの依頼を受けて興行でスパーリングに臨んだが、興行的な側面からルールが突然変更。対戦相手のラフファイトに見舞われ、バックドロップなどの反則行為を受けた。結果的に日本ボクシングコミッションからも戒告処分を受けており、今回は復活を証明する舞台だった。

現在、世界ランキングからも外れている木村はキャリアの少ない相手を圧倒的なかったことで「情け無いですね。自分はこんなものかと…。全然ダメですね。今はボクシングをやりたくない」と苦笑。所属ジムの花形進会長は「今夜眠れば多分、試合のことも話したことも全部忘れる。またやっていればチャンスはやってくるから」と激励していた。

再び世界ベルトを目指し、最終目標として世界4階級制覇王者のWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(志成)との対戦を希望している。しかし、この日の引き分けで木村は「オレの気持ちはハングリーさが失われている。今後、燃えられるものがあるかな」と遠くをみつめていた。