プロボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が、ついに全階級を通じた「世界最強」ボクサーに選出された。世界的にもっとも権威のある米老舗ボクシング専門誌ザ・リングが10日(日本時間11日)、階級を超越した最強ボクサーを決めるパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングなど各階級の最新順位を発表。井上が日本人史上初のPFP1位に選出された。これまで井上はPFP2位が最高だった。井上は公式SNSを更新し「日本人がこれまで誰もたどり着けなかった場所まで来た #pfp1」と喜びをつづった。

前回ランクで1位は3団体統一ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、2位はWBO世界ウエルター級王者テレンス・クロフォード(米国)となり、井上は3位だった。この世界的スター2人を一気に追い抜いた。井上は7日、さいたまスーパーアリーナでWBC王者だった世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)を右クロス、左フックで2度のダウンを奪って2回TKO勝利。19年11月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級決勝以来、約2年7カ月ぶりのリマッチで圧倒的な差をみせつけた。 ザ・リングのダグラス・フィッシャー編集長(52)は同誌公式サイトで「井上のパフォーマンスはセンセーショナルだと思った。彼は完璧な攻撃、ボクシングパワーをみせた。私は彼が少なくとも1つ順位を上げることに賛成だ(2位復帰)。実際、井上と(1位の3団体統一ヘビー級王者ウシク)のどちらか」と説明。最終的に井上を1位に認定することを決めたという。

<ザ・リング選定のPFPランキング>

<1>井上尚弥(日本)

<2>オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)

<3>テレンス・クロフォード(米国)

<4>エロール・スペンスJr.(米国)

<5>ファン・フランシスコ。エストラーダ(メキシコ)

<6>サウル・アルバレス(メキシコ)

<7>ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)

<8>ドミトリー・ビボル(ロシア)

<9>ジョシュ・テイラー(英国)

<10>ジャーメル・チャーロ(米国)

◆ザ・リング 米国で1922年の創刊当初からボクシングを基本線に扱う月刊専門誌。毎月、独自の基準でランキングを選定し、最も歴史と権威ある雑誌とされ「ボクシングのバイブル(聖書)」と呼ばれる。同誌編集委員会に各国記者らを加えた構成で毎月独自に各階級とパウンド・フォー・パウンドのランキングを世界10位まで発表。設立当初から独自認定した王者にベルトも授与し、02年より本格的に各階級ごとにもベルト授与している。また年間最優秀選手などの表彰も行っている。