国内のプロボクシングで現役最年長記録を更新する44歳、WBOアジアパシフィック・ミドル級王者野中悠樹(渥美)の3度目防衛戦が17日、大阪市内の所属ジムで発表された。

日本ウエルター級7位の能嶋宏弥(26=薬師寺)と7月24日、大阪・堺市産業振興センターで対戦する。コロナ禍で昨年7月23日のV2戦以来、1年ぶりの試合となる野中は「相手は死に物狂いでくると思うが自分も同じ。勝って次につなげたい」と意気込んだ。

日本ボクシングコミッション(JBC)の規定でボクサーのライセンスは37歳で自動的に失効となるが、現役の王者、世界戦に準ずる選手は一定の条件をクリアすればリングに立つことができる。ベルトを失えば、その資格を失う。野中は「負けたら終わり、引退とかの考えはないが、常にがけっぷちと思っている。いつも最後の試合という覚悟を持ってやっている」と話した。

今回は、服飾の専門学校に通う長女(20)がガウン、トランクスのコスチュームをデザインしてくれるという。野中から「作ってほしい」と懇願して実現する。「娘のためにも勝ちたい」。

村田-ゴロフキンの世紀の一戦が象徴するように、世界の壁は分厚い。しかし夢はあきらめない。現在、WBO世界同級15位。この試合後は海外の強豪ランカーとの試合を模索する。そのための資金をクラウドファンディングで募り、5月1日スタートで目標額の300万円まで約半分に到達したという。

「年齢での線引きはない。世界戦をやるまでは」。挑戦する心に年齢の壁はない。【実藤健一】