人気総合格闘家の朝倉未来(30=トライフォース赤坂)はフロイド・メイウェザー(45=米国)に2回TKO負けを喫した。右フックにカウンターの右ストレートを合わせられ、マットに沈んだ。

メイウェザーの顔面にパンチを入れるなど、高いボクシングスキルを披露したものの、本気のメイウェザーにはかなわなかった。

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勝敗は付かない非公式戦ながら、朝倉は“完敗”を認めた。試合後のコメントルーム。「普通に全部がすごかった。全てのレベルが異次元だった」と、失意の中で言葉を絞り出した。2回終了間際、右フックに右ストレートを合わせられ、マットに沈んだ。「(ダウンは)ちょっとよく記憶がなくて見返したんですけど、なんであれで倒れたのか謎」。地面がゆがみ、立ち上がろうにも立ち上がれなかった。

だが、50戦無敗の怪物の顔に「路上の伝説」は拳を当てた。本気にさせた。「普通の人にはできない体験。自信になった」。自身初となるパンチのみのスタンディングバウトは、収穫しかなかった。

試合が正式に決定したのは今年の6月。短期間の練習で本気で勝つために、自身の仕事に徹してきた。通常16オンスグローブで行うスパーリングでは、より拳の衝撃がダイレクトに伝わる8オンスを使用。ケガの危険を顧みず、感覚を研ぎ澄ました。世間から不利を予想されても、「みんなが負けると思っていて気が楽」と前向きに捉えた。

この経験は主戦場の総合格闘技のリングで生かす。昨年6月にクレベルに敗れた際は、引退をほのめかした。「MMA(総合)の試合をしたい。MMA選手としても成長できたのでやってよかった」。そう語る表情に、あの時の面影は全くなかった。【勝部晃多】