王者西田凌佑(26=六島)が、2度目の防衛に成功した。

挑戦者の同級14位アルジュム・ペレシオ(24=フィリピン)と対戦。12戦11勝(6KO)1敗の戦績を誇る難敵を相手に「磨いてきた」という左ストレートを軸に序盤から圧倒。ダウンこそ奪えなかったが、フルマークの判定3-0で勝利した。西田は戦績を6勝無敗(1KO)とした。

試合後は「お客さんに倒すところを見せられず、おもしろくない試合で申し訳ありませんでした」と謝罪した。倒すチャンスはあったが、相手が一発を狙って振り回してくるだけに「ここで絶対に負けられない。正直いきたかったが、リスクを考えて勝ちにいきました」と明かした。

昨年12月の初防衛戦以来、約10カ月ぶりの試合だった。腰などけがの影響もあったが、それが完治しても今回の試合直前まで絶不調だったという。指導する武市トレーナーが「間に合わないかと思った」と振り返るほど。それを劇的に変えたのは、ジムの枝川会長とその知人だった。

西田自身も「いつもは足が重いとか原因は分かるのか、全く分からない」と振り返った原因不明の不調。一緒に悩んだ枝川会長は知り合いで飲食店を営む、ある男性のもとに連れていった。「霊が見える」として有名な人物という。

会長は「連れていったら一発だった。右肩と腰と足、悪霊が3つもついていたらしい」。効果は顕著で“除霊”を受けた試合の約3週間前から動きが見違えたという。最初は信じていなかったという西田も「うそのようなほんまの話です」。防衛に成功した裏側に“悪霊退散”があった。

来年は世界タイトルを見据えるが「本音でいえば、まだキャリアを積みたいと思っている」。来春に海外で試合するプランも浮上している。「決められた試合でレベルアップしていきたい」。防衛への不安、重圧、あらゆるつきものがとれてスッキリした顔は、早くも来年を見据えた。【実藤健一】