寺地拳四朗は1回から攻撃のテンポが素晴らしく、右ストレートが切れていたが、光ったパンチがもう1つあった。ガードの下から突き上げる右アッパーだ。京口紘人はよけずらそうで、フェイントにもなっていたので、寺地は右ストレートをドンピシャのタイミングで決めることができた。

結果的には寺地が2度のダウンを奪って勝ったが、京口にも勝機はあった。5回に最初のダウンを奪われた後、終盤に右ストレートを合わせて左フック、左ボディーブローと畳み掛け、逆に寺地をダウン寸前に追い詰めた。もう少し時間があれば、ダウンを奪い返していたかもしれない。

残念だったのは次の6回。お互いダメージが残り、スタミナもロスしていたが、京口が開始から一気に攻めていけば、また違った展開になっていたと思うが、休んで見合ってしまった。あそこが京口にとっては勝負どころだった。

逆に寺地は6回にむきになって打ち合わず、うまく休めたことで、ダメージを回復させた。敗戦の経験が生きたのだと思う。寺地はWBO王者ゴンサレスとの3団体統一戦を希望していたが、今日の強さであれば問題なく勝てる。4団体統一も十分にいけると思う。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)