WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(30=BMB)が、人気格闘家・那須川天心(24=帝拳)の注目度を追い風にして日本人2人目の世界3団体王座統一の偉業に挑む。13日、都内で会見を行い、4月8日、東京・有明アリーナでWBO世界同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)と統一戦に臨むことを発表した。同じ興行でデビューする那須川のメイン級の扱いにも「皆さんに見ていただける」と相乗効果を歓迎した。

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会見の主役は壇上の中央に座った那須川だった。試合の格ではWBAとWBCの2つのベルトを持つ寺地がはるかに上。しかも、今回はWBO王者との3団体統一戦。デビュー戦の6回戦ボーイのメイン級扱いに心境はいかばかりか。そんな問いに王者はトレードマークの笑顔で即答した。

「(那須川は)注目度が高いのですごくうれしい。みなさんに見ていただけるので」。キックボクシング42戦全勝の“神童”は、今や若者に圧倒的な人気を誇る。その知名度は格闘技の枠を超えて広く浸透している。注目のデビュー戦と同じリングで、3団体王座統一に成功すれば、寺地の知名度も一気に広がる。相乗効果を期待していた。

その自信もある。昨年11月1日にWBA王者の京口紘人をKOで撃破して2団体王座統一。自信を深めた。強敵との連戦で戦い方の引き出しも増えた。WBO王者ゴンサレスは同じ興行で岩田翔吉に判定勝ちして2度目の防衛に成功した。「強くて頭もいい」と油断はしていないが「どこかで倒せる自信はある。KO決着になる」と、観戦者が目を見張るような圧勝を確信している。

3つのベルトを同時に手にすれば、バンタム級で世界王座4団体を統一した井上尚弥に続く日本人2人目の偉業になる。もっとも寺地にとってこれはまだ通過点。12月には井上が世界4団体のベルトを統一した試合を会場で観戦して「いい刺激になった」という。「4団体のベルトを取れる自信が自分にもある。今年中に取りたい。今はモチベーションも上がっている」。4月8日、寺地が名実ともに真の主役になる。【首藤正徳】

○…寺地と対戦するゴンサレスは「寺地は長くライトフライ級で王座に君臨しているので以前からチェックしている。NO・1と言えるだろう。最強王者と対戦できてうれしい」とビデオメッセージで語った。相手の実力は高く評価しているが、試合については「自分には技術がある。オレの予想は判定決着。統一王者になるのはオレだ」と勝利を確信していた。