ボクシングの元WBC世界ライトフライ級王者矢吹正道(31=緑)が10日、愛知県高浜市内で16歳以下の少年少女を対象にしたスパーリング大会を開催した。「ボクシングは危険ではない、楽しさを知ってほしい」と競技の底辺を広げる狙いで年2回、5月5日のこどもの日と12月に開催し、今回が6回目。6歳~16歳の52人が参加して、熱戦を繰り広げた。

矢吹も楽しみにした「天才少女ボクサー」の対戦。矢吹の長女でジュニアチャンピオンズリーグ全国大会を連覇の中学1年の佐藤夢月さんと、小学生対象の全国大会を連覇した小学6年で奈良・天理市在住の山岡乙葉さんが拳を交えた。ともに将来の五輪金メダルを目標に掲げる「チャンピオン対決」の結果は夢月さんが判定3-0で勝利した。

矢吹は「無事に終わりました。ホッとしてます」と事故なく終了したイベントに安堵(あんど)。自身は今年5月の練習中に左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負い、一時は引退も考えたどん底から再起を目指すと決めた。来春にも復帰戦を予定する中、元気な子どもたちの姿から大きなエネルギーをもらった。【実藤健一】