プロボクシングWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が26日、東京・有明アリーナで開催されるWBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体王座統一戦に臨む。今夜、井上が対峙(たいじ)するタパレスもWBAスーパー王座、IBF王座を保持する統一王者だ。「ナイトメア(悪夢)」の愛称を持つタパレスとは、どんな経歴を持つ統一王者なのか?

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7月25日、WBC、WBO世界同級タイトルマッチとなった王者スティーブン・フルトン(米国)-井上戦を現地視察したタパレスは今年4月、新たな統一王者となった。今回が初防衛戦となる。スピードある攻撃と伸びのあるパンチ、手数の多いサウスポーは、米サンアントニオで無敗の統一王者ムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)を2-1の判定で下した。11勝(8KO)無敗で強打を誇っていたアフマダリエフに、プロ初黒星をつけた。

「私はアンダードック(負け犬)ではない」と宣言するように、戦前予想を覆す「番狂わせ」を起こして対戦相手に悪夢を与えることから「ナイトメア」の愛称がついた。50試合以上のアマ戦績を経て、16歳でプロ転向。08年にデビューし、主戦場はミニマム級、ライトフライ級だった。10年4月、同国フライ級王座を獲得。13年にWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得し、ついに16年7月、プンルアン・ソー・シンユー(タイ)を11回KOで破り、WBO世界同級王座を獲得した。

ところが17年4月、大阪で大森将平の挑戦を受ける際、前日計量で体重超過し王座剥奪。試合は11回TKO勝ちしたものの、同王座は空位となった。19年には米国でIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦で岩佐亮佑と対決も、11回TKO負け。21年12月には勅使河原弘晶とのIBF世界同級挑戦者決定戦で計3度のダウンを奪って2回KO勝ちするなど日本を熟知している。

勅使河原戦前の21年7月から練習拠点を米国に移し、以降はフィリピン在住の夫人、子供ら家族と離れて暮らし、ボクシングに集中できる環境を整えた。岩佐戦敗退後、新トレーナーにエルネル・フォンタニーニャ氏を迎えて新タッグを組み、クインシー・ハッチャー・フィットネスコーチによる筋力とコンディションニングの練習もジムワークと並行して続けて「進化」を遂げてきた自負がある。

20日に横浜市内のジムで行われた公開練習で、タパレスは「勝つためにやれることは何でもしてきた。勝つ自信は2000%ある。井上よりも勝る部分? それは26日の試合を見れば分かる」と不敵な笑み。井上に王座陥落、プロ初黒星という「悪夢」を見せつけるために今夜、決戦のリングに立つ。

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