同級1位の田中恒成(28=畑中)が、同級2位クリスチャン・バカセグア(26=メキシコ)を3-0の判定で破り、日本選手3人目の4階級制覇を成し遂げた。
21戦目での4階級制覇は6階級制覇王者のオスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る最速。最高の形で4階級目のベルトを腰にまとった。4階級制覇をかけて戦い、初黒星を喫した20年大みそかの井岡一翔(志成)戦以来、約3年2カ月ぶりの世界戦で超エリートが輝きを取り戻した。
記者会見での主な一問一答は以下の通り。
-試合を振り返って
KOで勝ちたかったです。まずはそれを思いました。
-試合全体の評価は
ブロックや避けることはできた。今日の相手を倒す上で大切だったのは好きに打たせないこと。これは反省が残る試合内容だった。
-これまでに積み重ねてきたことは出せたか
半分くらいは出せたと思う。こんなもんじゃ、誰も納得しないと思います。
-この試合に向けてカウンターに力を入れてきたとのことだったが、その手応えは
アッパー、右ストレート、良いカウンターをあげることができた。もう少し、自分自身のバランス、押し込まれて崩れたりすることなどがなければ、打つチャンスがあったと思う。まだまだ。反省点や課題がたくさん見えた。
-まだまだ伸びしろがあるということか
ずっとそう思っていますし、今伸び始めたところかなと思う。
-兄亮明選手の存在については
兄も激励に来てくれた。普段はなかなかあう機会も少ない。会って「頑張って」と言ってもらえて、それだけでうれしい。同じ舞台で結果を出せて良かったです。
-中盤でアッパーが効果的だったように思う。相手のタフさについてはどう感じるか
思っていた以上に打たれ強かったです。1発よりも何度もチャンスを重ねてダメージを与えること、そして相手に打たせないことでメンタルを削りたかったが、後半の削り方がうまくいかなかったのが課題かなと思う。
-満足していないというのはどういうことか
3年前に取れなかったベルトなのでうれしいにはうれしいが、3年前もこのベルトでゴールだとは思っていなかった。相手も違う。ここで終わることはもちろんないという気持ちです。
-どこに課題を感じたか
相手に好きに打たせない、接近戦でバランスを崩す、自分が崩れない、打つ1つ手前でパンチを出して出はなをくじく。相手の止め方はいっぱいあったと思う。
-試合序盤の入り方はどう評価するか
1ラウンドやったところで相手のパンチは見えていた。
-3年2カ月前よりも成長を感じるところは
落ち着いていたということ。試合前の入場やリング上で緊張で胸が高まったりすることなく、普段通りにリング上にいました。その感覚がとても強かったです。一番興奮するような舞台だったが、一番落ち着いていたかもしれない。
-お兄さんも「落ち着いた」と言っていた。勝利のつかみ方で変化は感じたか
落ち着いているのでいろいろな選択肢が見えていた。ボディが効いていたのでボディを狙いながら、なかなか倒れない相手にボディを。ガードをされたら打たれ強いけど、細かいパンチを顔面に。同じペースで慣れてきたので、足を使いながら変化させた。それが動きに出ているかは中途半端だったが、それでも頭に選択肢が出たことが成長だと感じる。
-半分出せたのはどういうところか
相手のパンチを見切ることやディフェンスによって試合を組み立てたこと。そこで試合をつくることができたのは、一番大きな成長だったと思います。
-リング上では井岡選手への思いを話していた。「もう1本ベルトを持って戦いたい」という思いについて
IBFのフェルナンド選手を倒して、強さを証明すること。その上で1本ではなく、2本かけて戦うこと。それくらいのことをやって、それくらいのものをかけて、初めて戦いたい。リベンジさせてくれと言いたい気持ちです。それが僕の気持ちです。
-まだリベンジには臨めない感覚があるのか
ちょっと違うかもしれないが、勝つ自信があってのリベンジ。リスペクトの気持ち。そっちかなと思う。