ボクシングのWBO世界フライ級1位で同アジアパシフィック王者の加納陸(26=大成)が“最後の”世界前哨戦に臨む。タイのスーパーフライ級10位ジャクパン・サントンとの契約51・5キロ8回戦(4月14日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)が2月29日、兵庫県三田市の所属ジムで発表された。

加納は16年8月、18歳で高山勝成とのWBO世界ミニマム級王座決定戦に挑み、負傷判定と悔しい敗戦でベルトを逃した。そこから階級を上げ、世界ランク上位を保ちながら、2度目のチャンスはなかなか巡ってこない状況だ。

同級1位で指名挑戦権を保持する。「負ければ(1位ランクを失い)世界挑戦が遠のいてしまう。何がなんでも勝って、きたるべく世界挑戦に備えたい」と鼻息は荒い。

WBO王者はジェシー・ロドリゲス(米国)で昨年12月にIBF王者との統一戦に勝利した。世界戦実現に向けてかなりハードルは高いが、大成ジムの丸元大成会長(47)は「(世界)前哨戦は今回が最後、きっちり勝ってほしい。ジェシーは人気選手で強豪だが、こちらは指名挑戦権を持っている。日本でというこだわりもない。まず世界戦を実現させたい」と話した。

丸元会長の熱意はすごい。昨年10月には片道10時間をかけて、プエルトリコで開催されたWBOの総会に乗り込み「挑戦権」をアピールした。年明けも関係者の助けを受けた英文メールでWBOに1位の挑戦権を訴え続けている。

ルール上、王者が指名挑戦者と対戦しなければならない期限が今年9月という。ただ、現王者ロドリゲスが返上して階級を上げるという情報もあり、その場合は王座決定戦となるため、状況を見守るしかない。丸元会長は「とにかく待つしかない」と言った。

加納にも待つ苦しみはない。「気持ちの面を壊さず、目の前の試合で自分が決めたことをやってその時を待つだけ。(待つ時間も)自分の力を伸ばすことができるというプラスに考えています」。とにかく次戦が世界への突破口。完璧な勝利で大舞台への道を自ら切り開く。【実藤健一】