プロボクシングWBC世界バンタム級2位の那須川天心(27=帝拳)が、新兵器“10センチの爆弾”でKO復活を目指す。
同級1位の元世界2階級制覇王者ファンフランシスコ・エストラダ(35=メキシコ)と同級挑戦者決定戦(4月11日、東京・両国国技館)を控えて、3月31日に都内の所属ジムで練習を公開。「必殺技も常備している。10センチの爆弾。自分の気持ち、持っているものをすべてぶつけてKOしたい」と珍しくKO宣言した。
ボクシング8戦目で世界に初挑戦した昨年11月の井上拓真(大橋)との同級王座決定戦で判定負け。格闘家時代を含めて“神童”と呼ばれた男が初めて喫した初黒星だった。約5カ月ぶりの再起戦に備えて、那須川が選んだ復活への道が“原点回帰”だった。
週1日は古巣のキックボクシングのTEPPEN GYM(千葉・松戸市)で父弘幸会長の指導を受け、さらに15歳の時にボクシングを初めて教わった元日本、東洋太平洋スーパーバンタム級王者の葛西裕一氏(56)が会長を務めるGLOVEジム(東京・世田谷区)にも出向き、恩師にミットを持ってもらった。
「本来の自分を知っている人に見えていなかったもの、なくしかけていたものを呼び覚ましてもらう作業。葛西さんにミットを持ってもらったり、父のジムにいったり、原点に返るじゃないけど、自分がもともとやってきたものをさらに磨いてきた」と那須川は理由を明かした。
葛西氏のもとでもっとも磨きをかけたのが接近戦での強いショートパンチ。「“10センチの爆弾”と彼が言いましたが、ショートパンチで仕留められるようにしています。短い距離でも小さな踏み込み、ショートでもちょっとステップするのを取り入れている。変わってきましたね。世界チャンピオンになる人はショートで倒せるパンチを持っている。接近戦が強ければロングでも負けない。KOを狙っていけば判定でも勝てる。KOを狙うボクサーでいい」と葛西氏。
那須川も「近い距離はあまり得意ではなかったけど、今までできなかったことをできるようにする。怖いことだけど、その中にしっかり入り込んで、自分から試合をつくっていく。そこに取り組んできた。自分の幅になる」と自身を深めた。
キャリアと実績を誇る2階級制覇王者エストラダのハードルは高い。再起戦の相手としてはリスクは大きいが「一筋縄ではいかない。パターンをいろいろ出していかないと勝てない。絶対もう負けたくない。自分の持っている以上のものをしっかりぶつけて、1人の漢(おとこ)になろうかと思います」。正念場の復帰戦が、那須川にとって新たな神話のスタートになる。

