大相撲の元関脇旭天鵬の大島親方(41=友綱)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で行われた。

 92年春場所で、初のモンゴル人力士として初土俵。歌手野口五郎(60)、小林幸子(62)、プロ野球ロッテ涌井秀章投手(29)ら著名人も出席し、モンゴルからも同胞で元小結旭鷲山のダヴァー・バトバヤル氏(43)、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(35)らが駆けつけた。

 入門から12年春場所まで在籍した大島部屋の師匠、先代大島親方(元大関旭国)、同じ伊勢ケ浜一門の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)、3横綱や友綱部屋の関取衆ら約400人がはさみを入れ、最後は先代大島親方の見守る前で、現師匠の友綱親方(元関脇魁輝)が止めばさみを入れた。

 涙ながらに断髪を終えた大島親方は「これで本当に、お相撲さんとして卒業だな」としみじみ話した。モンゴル勢の隆盛の礎を築いたことには「結果的に、我々が行ったから(日本に)来やすくなったのは事実。頑張りは本人たち。そこにたまたま、自分が最初にいた。ついてる男だなと思う」。現役時の一番の思い出には、37歳8カ月で最年長優勝を果たした12年夏場所を挙げ「やっぱり優勝がなかったら、レジェンドとか呼ばれることもなかったと思う」と振り返った。

 整髪後はファンの前で「こうなりました」と、明るい笑顔で披露。「断髪式が決まってから不安もありましたけど、こんなにたくさんの方々に来ていただいて、うれしく思います。僕は幸せです。明日からまた、社会人として、親方1年生として頑張っていきます」とあいさつした。