大相撲の人気力士で東前頭16枚目の宇良(25=木瀬)が、九州場所(12日初日、福岡国際センター)を休場することが9日、分かった。関係者が明かしたもので、秋場所途中休場の原因となった右膝前十字靱帯(じんたい)損傷からの回復が思わしくないため。初日と2日目の取組を決める、今日10日の取組編成会議を前に決断した。劇的に回復し、九州場所に途中出場しない限り、来年初場所の十両陥落は確実となった。

 宇良は10月末に九州入り後、若い衆と福岡市の部屋で稽古を重ねてきた。手術はせず、痛みを抱えながらも一時は出場のめども立っていたという。だが7日に幕下上位と稽古後、激痛が走り、右脚がほとんど動かない状態になった。8日に福岡市内の病院でMRI検査を受けたが、部屋に戻った際、付け人に肩を借りなければ階段を上ることもできず、8日と9日は稽古を休んだ。関係者は「ケガを発症した時の状態に戻ってしまった」と話した。

 秋場所の途中休場後は周囲から手術も勧められたが、その場合約半年は休場を余儀なくされるため、回避して土俵に戻る道を探っていた。別の関係者は「押し相撲へスタイルを変えることも考えていた」と証言。174センチの小柄で躍動感ある従来の取り口を手放すことも視野に入れていた。九州場所の休場について本人は「いい機会だと思って治療したい」と話しているという。ただ、完治には手術が必要という声も根強くあり、そうなれば大幅に番付を下げることは確実。引き続き、宇良は決断を迫られることになる。