貴景勝は止まらなかった。立ち合いで鋭く当たり、前へ、前へ。横綱に何もさせず押し出した。

 日馬富士から2場所連続の金星。先場所は10日目、はたき込みだったから内容は段違いだ。「あんまり覚えてないんです。考えたら、脳の回転が遅くなるんで」。無意識で会心の相撲を見せた。

 西前頭筆頭で臨んだ先々場所の名古屋から始まった上位戦で、三役以上と18戦7勝11敗。「人より体がないから、これでやっていくしかない」と押し相撲に全力を注ぐ。

 同学年の阿武咲とのライバル関係が注目される。「それは記者さんが一緒にしてるだけ」と話していると、風呂上がりの阿武咲が現れ「いいなあ、勝った人は写真撮ってもらえて」と突っ込まれたが、どこ吹く風。2個目の金星に「自信とは別に、自分の相撲をもっと貫いていいのかな、とは思います」。今日3日目は名古屋場所以来2度目の白鵬戦だ。