大相撲の横綱日馬富士による暴行問題で揺れる日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)が27日、東京都墨田区の両国国技館で定例会合を開き、日馬富士には「非常に厳しい処分が必要」との見解で一致、横審が最高位の力士による極めて重大な問題として捉えていることが鮮明になった。

 相撲協会への答申となる横審の決議には引退勧告や休場勧告、注意などがあるが、この日は調査不十分として横審としての判断を持ち越した。協会は横審の決議を踏まえて処分を検討する。処分には最も重い除名や解雇、出場停止、給与減額などがある。

 記者会見した横審の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「大変なダメージ。ファンの期待を裏切るもの」と批判した。

 また、鳥取県警が暴行現場に同席した横綱白鵬を28日にも参考人として聴取する方針を固めたことが分かった。横審の会合では九州場所で40度目の優勝を果たした白鵬が優勝インタビューの際、観客に万歳三唱を促したことに「日馬富士問題で大変な中で、何で万歳ができるんだろう」(北村委員長)などと苦言が相次いだという。

 協会の危機管理委は、鳥取県警の捜査と並行して調査を進めているが、暴行を受けた平幕貴ノ岩の聞き取りは、師匠の貴乃花親方(元横綱)が拒否しているため実現していない。この日の横審会合では経過報告にとどまった。横審の席上、同親方の行動を「不可解」と疑問視し「協会全体が進めることをぶち壊すような動きをしているのではないか」という意見が多く出たという。

 北村委員長は「まだ確認できないところがある。早く調査を完結していただいて、それを受けて審議し、決議しようということ」と述べ、調査結果が整った時点で臨時会合を開いて協議する意向を示した。協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「暴力は絶対駄目。一日も早く解決できるようにやっていく」と話した。

 横審は「横綱としての体面を汚す場合」などに「実態をよく調査して」決議を下すことができる。2010年2月には、知人男性への暴行問題を起こした横綱朝青龍に対し「引退勧告書」を出し、引退につながった。