元横綱大鵬(故人)の孫が、元横綱朝青龍のおいとの“DNA対決”を制した。前相撲で、納谷(17=大嶽)が豊昇龍(18=立浪)と2戦2勝同士で対戦し、すくい投げで勝ち、3勝で新序出世一番乗りを決めた。同期で永遠のライバルになりうる相手に先勝。祖父の命日を今日19日に控え「いい報告ができます」と喜んだ。

 小細工なし。相手を気にせず、先に仕切った。納谷が両手をしっかり土俵につけた。立ち合い、低く当たってきた豊昇龍に対し、胸から当たり、受け止めた。流れの中でもろ差しになった。166キロの巨体で押し込み、最後は相手の首投げを食わずに、すくい投げを決めた。「突き相撲じゃなかったけど、前に出られた。相手もしっかり見えていたし、良かったと思います」。冷静に振り返る17歳に、大物感が漂った。

 うれしい先勝だ。豊昇龍とはアマチュア時代、埼玉栄高2年の16年10月に関東選抜大会決勝戦で勝っているが、115キロと細身でもバネがある相手を「力強くて、柔らかい。投げもかけてくる」と認めている。角界入門こそ豊昇龍が1場所早かったが、同学年で同じ初土俵を踏んだ。そして自分が“大鵬の後継者”なら相手は“朝青龍の後継者”だ。仲が良く、前日17日までは取組前後によく話をしたが、対戦が予想されたこの日は一転。取組前は「おはよう」とあいさつを交わしただけ。「結構気合入ってました。(豊昇龍と)やってみたかった」。戦闘モードに入っていた。

 2戦2勝同士のライバル対決を制し、3戦全勝。新序出世一番乗りを決めた。春場所からは序ノ口力士。「豊昇龍とは今後もライバルで?」と問われ「番付に載って、やっとお相撲さんです。しっかり番付を上げていけるよう、頑張りたい」。出世レースでしのぎを削っていくことを歓迎した。

 今日19日は13年に他界した祖父の命日。「お墓参りで報告します」とおっとりした笑みを浮かべた。「まだ足が出なかったりするので、練習の時のようにもっと前に出られるようにしたい」。祖父と同じ横綱を目指す戦いが始まった。【加藤裕一】