横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)の6場所連続休場が決まった。大相撲春場所(11日初日、エディオンアリーナ大阪)の取組編成会議を翌日に控えた8日の朝稽古後、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が明かした。朝稽古に姿を見せなかった本人に代わり「左胸がなかなか完治しなかった。昨夜と今朝も話し合いました。出たいとは思っているけど、ちゃんと治して土俵に上がりたいと」と説明。4日を最後に相撲を取れず万全には遠かった。

 新横綱として臨んだ、1年前の大阪。13日目に左胸付近を痛めながら千秋楽で劇的な逆転Vを飾った代償は、あまりに大きい。年6場所制以降、横綱の6場所連続休場は貴乃花の7場所に次ぎ、武蔵丸らと並ぶ長期休場。休場中も患部以外は動かせると稽古場に下り、相撲勘を鈍らせまいと巡業も極力、参加してきた。自分と向き合う真面目横綱だが、はやる気持ちに患部の治癒は追いつかなかった。

 新横綱から暗転。「懸命に治しながら悔しさ、いら立ちと闘っている。ファンに喜んでもらえるよう、心もまた作り直して」と本人の胸中を師匠は代弁した。巡業参加などは未定。次に出場する場所は進退をかける覚悟でいる稀勢の里が、土俵際の闘いを続ける。